ブログ「噴火史情報学入門」第3回

植生遷移

植生遷移(vegetation succession)は,ある植物群落(plant community)の構成種(component species)が時間経過とともに変化し,他の群落に置き換わる現象をいいます。植生遷移は一次遷移(primary succession)と二次遷移(secondary succession)の2つに大きく分けられます。
一次遷移は土壌が全くなく,植物が全く生育していない裸地から始まる遷移です。
溶岩原(lava field)から始まる遷移がこれに当たります。
鹿児島の桜島は溶岩原の年代がわかっているので,異なる年代の溶岩原上の植生が調査され,植生の遷移過程が明らかになっています
一方,二次植生は森林伐採(deforestation)や山火事などで植物群落が失われた場所から始まる遷移です。
すでに土壌があり,土壌の中に植物の根や種子が保存されているため,遷移は一次遷移に比べて早くなります。
火山噴火では,火砕流(pyroclastic flow)や降下テフラ(fallout tephra)による植物群落の埋没や焼失などからの植生回復が,この例に近いと考えられます。

(藤木利之)

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