ブログ「噴火史情報学入門」第11回

第11回:沖積層

現在の海岸平野の地下には約2万年前の最終氷期に形成された谷地形が埋もれている.この谷地形を埋めている堆積物は沖積層と呼ばれ,挟在する火山噴出物(テフラ)は編年および対比をする際に良好な指標となる.最終氷期最盛期の海水準は現在よりも80~140 m低かったとされている.大規模な河川の河口に広がる海岸平野の地下の沖積層は,基底の砂礫層,下部の砂泥互層,中部の泥層,上部の砂泥互層によって構成されている.こうした累重様式は地域ごとに多様であり,その原因は谷地形の形状や供給土砂の種類や量,活構造などが考えられる.河岸平野の地下にもこれらの連続または同等の地層が存在している.一方,大規模な湖の沿岸では上記のような海水準変化の影響が顕著でないので,これらの沿岸の地層は沖積層には分類しない.
(中西利典)

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